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- 管理栄養士の相談室
今日は、尿酸値についての質問をいただきました。
【健康診断で、尿酸値が高かったんだけど、どうしたらいい?】
尿酸といえば、プリン体。
『ビールやお肉をひかえたらいいんだよね。』そうとらえている方もいます。
もちろん、間違いではありませんが、もう少し掘り下げてみましょう。
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尿酸値が高い時の食事の注意点
- 肥満の是正
- プリン体をへらす
- 水分をとる
- 野菜をとる
- アルコールをひかえる
詳しくみてみましょう。
1 肥満の改善
痛風といえば、プリン体を含む食品や飲み物ばかりが強調されがちですが、最近はカロリー制限が重視されています。
適性体重になると、自然と尿酸値も下がる場合も多いです。太る習慣に注意ですね。
あなたの適性体重は?→目標体重を計算してみよう
2 プリン体を含む食品を控える
「尿酸値」「プリン体」どちらも、よく耳にする言葉ですが、いったいプリン体って何?と思う方もいるかと思います。
プリン体は食物に含まれている旨みの成分です。分解されて尿酸に変わり体の外へ尿とともに排出されます。
ただし、プリン体禁止とされていないのには、食事由来の尿酸は2~3割と言われ、体の中で作られる物の方が多いからかもしれません。
それでも、プリン体の取り過ぎは要注意です。
【プリン体含有量】
極めて多い
300mg以上 |
鶏レバー・マイワシ干物・
イサキ白子・あんこう肝酒蒸し |
---|---|
多い
200~300mg |
豚レバー・牛レバー・カツオ
マイワシ・大正エビ・ マアジ干物・さんま干物 |
これらの食品は、家庭料理ではあまりお目にかかりません。
1回に食べる量もそれほど多くありませんが、外食が多かったり、珍味など上記の食品を好んで食べる人は注意が必要です。
3 水分を十分にとる
尿酸は、尿と一緒に体の外へでます。
ということは、尿量が少ないと、尿酸値はさがりにくいです。水分をしっかりと摂って尿を出すことが大事です。
また、血液の流れが滞っていると、よくありません。
体が冷えると血液の流れもよくないですので、体を冷やさないという意識も大事です。
水分はお水やお茶。ウーロン茶などでとります。
炭酸飲料やジュースなどの糖分の多い飲み物はさけるようにします(肥満予防)
果糖も尿酸値を上げます。
吸収されやすい果汁100%のジュースのがぶ飲みは禁物ですよ。
4 野菜を十分にとる
尿酸は、アルカリ性~中性によく溶けるので、野菜、いも類、海藻類などのアルカリ性食品を十分に摂り、尿をアルカリ性に保つことが必要です。
野菜に含まれている食物繊維は尿酸の排泄を促します。
野菜類やキノコ類・いも類・海藻を毎日とりましょう。
5 アルコールは控える
「ビールはよくない」ということは皆さんよく御存じですが、じゃあワインや酎ハイならいいんだろうと思っている方もいます。
アルコール自体が尿酸値を上げる働きをもっているため、ビール・酎ハイ・ワインとどれも飲みすぎは要注意です。
体内でアルコールは分解されますが、その副産物として尿酸が作られてしまいます。しかもその際にできる乳酸が尿酸を体内に蓄積させてしまいます。
ビールはプリン体とアルコールの両方から尿酸を作る事になり焼酎はプリン体はなくてもアルコールから尿酸が作られ尿酸値を上げる事になります。
そして、もう一つの理由は、量なんです。
ビール自体のプリン体はレバーなどと比べると多くはありません。
しかし、レバーを毎日100g食べる人はいませんが、ビールを500ml毎日飲む人は多いです。
鶏レバーの煮物(60g) 187.3mg
ビール500ml 25.5mg
生活習慣チェック
- 太っている
- 急激なダイエットをしている
- きつい運動をしている
- 体を冷やす事が多い
- 水分はあまり摂らない
- ストレスをよく感じている
どれか一つでも当てはまると、要注意です。
肥満はもちろん、急激な減量をすると、細胞が壊れ核酸からプリン体が体内に放出されることで、尿酸値が上がることがあります。きつい運動も同じといえます。
夏の暑い時期にクーラーのきいた部屋でずっと過ごしていたなんていう場合も、体が冷えすぎて、血流量が低下している場合があります。すると、プリン体も尿と一緒に体の外へ出ていきにくくなってしまいます。
水分の摂り方の少ない場合も、尿量が減りプリン体が体の外へ出て行く量も減ります。
また、食事だけでなく、ストレスが強いこともプリン体量に影響すると言われています。
尿酸豆知識
尿酸値が7㎎/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症の状態が長く続くと、血液に溶けきらなかった尿酸は結晶になって関節に沈着し、急性関節炎(痛風)を引き起こします。
この尿酸は、プリン体から発生した老廃物で人間の身体で分解する事ができない為、腎臓から尿として排泄されます。
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プリン体は、食事は関係ない?
以前は、痛風の食事療法はプリン体の制限といわれていました。
ただし、今ではもちろんプリン体の取り過ぎには要注意ですが、食事由来のプリン体は全体の2~3割といわれています。
7~8割は、体の中で作られるため体質などが大きく影響します。
痛風発作を起こしていない予防の段階で尿酸値7~8mg/dlの場合は、食事や生活習慣の改善が一番の方法です。
(※痛風発作を起こしたことのある方は、医師に相談しましょう)
実際に私が相談を受けた事例をご紹介しましょう。
私は、あまり聞いたことがなかったので、??だったのですが、ちょっと調べてみると、同じような質問をしている方がいるようです。
100gあたりのプリン体は、豆腐は少ないくらいです。納豆は、少しはありますがお肉と一緒くらいで、普通に食べている程度なら問題はありません。
大豆製品である豆腐・納豆は健康食品のイメージが強いです。しかし、『夏の暑い時期に食欲がなくて毎食豆腐を1丁食べていた』なんて場合は、プリン体が蓄積して尿酸値があがってしまう場合があります。
さすがに毎食豆腐一丁は食べすぎですね。
男性は45歳の働き盛り。何が原因でしょうか?
色々質問してみました。
・アルコールは?→飲まない。
・ラーメンとか好き?→嫌いじゃないと思うけどそんなには食べてないと思うよ。
・何かいつも食べるものある?→天麩羅かな。
この程度の聞き取りでは、あまり原因が見えてきません。
- 見落としがちな原因は
◇焼き鳥屋さんによくいく
◇ラーメンが好き
◇アルコールが好き
◇夏の間は、食欲がなくて豆腐ばっかり食べてた。
こんなことに心当たりのある場合は、意外とプリン体の多い物を食べている場合があるので要注意です。
今回の相談者さんの場合は、
『肥満体型である。』『野菜の天麩羅が好き』ということからも、カロリーオーバー気味が予想されますね。
一番最初にやるべきことは、肥満を是正することでしょうか。
また仕事も忙しいとのことから、ストレスによる尿酸値の上昇も気になります。
しかし、食事から体の中に入ってくるプリン体は全体の2~3割とそれほど多くはありません。体から出ていく量を減らさないように水分を多く摂る大事です。
どんな食品も摂りすぎるとよくありません。
いろいろな食品をまんべんなく食べる。
これが、一番の極意かもしれませんね。
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